私は泣かない子供だった。泣きたくないと思っていた訳ではない。周囲に与えられた幸福な環境の中で慢心し、真剣に生きてこなかったのだ。
人生の半分を終えた私はめっきりと涙もろくなった。たぶんそれは小野寺梓に出会ったから。アイドルに全てをかける君の想いに触れると、とめどなく涙が溢れてしまう。
君と出会ったのは2018年2月3日の恵比寿CreAto。当時の私はアイドルへの熱を失っており、自身の生活環境の変化も相まって、この日を区切りヲタクは最後にするつもりでした。
そんな中で、どうして私は小野寺梓というアイドルを好きになったのだろう。
私は太陽のような天性の明るさを持つアイドルが好きで、かつては松浦亜弥や市川美織、今だと白キャンだと浜辺ゆりな、パレパレだと白川千尋といったタイプに心惹かれてしまうのはきっと隠しきれていないのでしょうね。
今でこそ君はアイドル界を代表するキラキラオーラの持ち主だけれども、昔の君は可愛い顔はしているものの、内面に抱えるネガティブさに心が押しつぶされてしまう場面を見ることも少なくはなかったように思う。
でも自分への自信のなさとは裏腹に、アイドルのためならば何があっても屈しない執念、そして誰かのためにならどこまでも優しく強くなれるブレない芯を持っていて。
全力で生き、ファンに希望を与え続けたその光が、きっと今のスーパーアイドル小野寺梓の輝きとなっているのでしょうね。
私が君に惹かれたきっかけは『モノクローム』でした。盛り上がるライブが好きな君は、披露するとファンが聴き入ってフロアが静かになってしまうこの曲が今も苦手なんだと思う。
誰からも一目置かれる歌唱力を身に着けた今だから笑って話せることだけれども、当時は正直あまり歌は上手ではありませんでしたね。
でも、自分の実力では届かないことを知りながらも「きゃーみーさぁああまぁあ、ねーえぇえ教えてよ」と、これでもかというくらいに完全に外しまくった音程でも、ありったけの想いを込めて誰かに何かを伝えようとする君の姿がとても美しく思えたんだ。
2018年3月28日に渋谷チェルシーホテルで行われた1stワンマン、数回しかライブに行ったことのなかった若くもない私に、遠くから来てくれた深い感謝を伝えてくれたことをよく覚えています。
2018年の誕生日の翌日9日は心斎橋FANJで「麻柳新鐘-kirinji-」という対バンイベント。遠征だったけれど大阪のファンのために誕生日の飾りを準備して、ファンを迎えるあずちゃのファンサービスぶりは今も健在ですね。
そして2018年8月24日 Shibuya WWWで行われた初めての生誕祭。会場が埋まるかどうか本気で君は心配していましたね。
でも、実際に蓋を開けてみると会場は満員のファンで埋め尽くされていて。少し緊張しながら もとっても楽しそうだったあの時間はとても幸福でした。
個人的に印象深いのは2018年11月17日SHIBUYA WWW Xで行われた1周年ライブ翌日の特典会。告知がギリギリだったこともあり、帰りの飛行機はすでに予約済み。
途中の衣装交換で運悪く私の前で列が切られ、時間の都合もあり諦めて帰ろうとしたのですが、そんな私の事情を察して最後のチェキを撮れるようにスタッフさんにお願いしてくれました。たまにしか現場に行かない私なのに、誰も見捨てない君のファンへの愛情が嬉しかったです。
息子が産まれるので今度こそ最後のライブにしようと思っていたのに、あの時の君の優しさに触れてしまったから離れられなくなって。気づけば7年も経ってしまいました。あずちゃに出会った時に妻のお腹にいた息子は来年小学先。時の流れを感じます。
世の中には星の数ほどのアイドルが居て、一途じゃない私は沢山のアイドルさんを可愛いと思うけれど、それでもやっぱり小野寺梓というアイドルに今でも夢中なままです。
私がヲタクとして胸が痛むのは2019年のTIFのメインステージ争奪戦。この年は3月に1stシングル「闘う門には幸来たる」が発売され、4月には「MARQUEE」での定期連載が開始されるなど飛躍の年でしたね。
メインステージ争奪戦の予選である前哨戦の前日、2019年6月14日に新宿LOFTで行われた白キャン、ニジマス、まねき、天晴れとの4者の対バン。
その特典会で明日の戦いに向けてのファンからの激励に君は笑顔で応えていましたね。
でも特典会の最後、「勝てなかったらどうしよう。期待を裏切ったらどうしよう」それまでの緊張が解けた君はボロボロと泣き出しました。
泣き止まないのでポーズも取れずうろたえる僕とスタッフさん。そして何とか撮影したボロボロの君が収まった一枚は私の心の中に大切にしまっています。
私たちファンはあずちゃに期待の言葉をかけますが、そのひとつひとつの言葉を受け止める君は、想像すらできないほどの重圧の中にいたのでしょう。
それでもファンを心配させないように気丈に振舞い、不安を乗り越え、ファンからの声を力にする君はやっぱり素敵なアイドルだと改めて思った瞬間でした。
初めての出場となった2019年8月2日のTIF。メインステージ争奪LIVE決勝戦では2位に終わりました。最高のライブをした白キャン。でも、そこにファンとして結果を添えれなかった悔しさは忘れられません。
でも、そんな後悔を消し去ってくれたのもまた白キャンでした。メイン争奪戦の翌日のガンダム前のFESTIVAL STAGEでのライブ。夕暮れ時の空の下、激闘をたたえるかのように集った超満員のファンの前でのライブは私が今まで白キャンを見てきた中で一番感動したシーンです。
だから『全身全霊』を聴くとあの日、頑張った君の事を思い出して今でも泣いてしまうんだ。
2020年は桜色カメラロールでメジャーデビュー。でも、コロナの病魔が忍び寄り思うようには活動できない苦しい日が続きましたね。
この年の生誕祭は新宿BLAZEで行われたのですが、コロナによる入場制限があり生誕祭に参加できないファンが多数。私もその一人でした。
ライブを見ることが出来なかったのは悲しいのですが、ライブ映像を自身のYouTubeにアップしたり、MV作成を自らが主導したりなど会場に入ることの出来なかったファンのために沢山の愛をくれた君の想いに包まれて、ファンでいることの幸せを強く感じた年でもありました。
またこの年に行われた3周年ライブはZepp DiverCityでの開催。ファンが数人しかいなかった無名のグループが自らの力でアイドルシーンを駆け上がっていく白キャンと小野寺梓の伝説はアイドルを目指す少女たちの希望であると共にライブを愛するファンの共通の思い出となるのでしょうね。
2021年はツアーで全国行脚、2022年には河口湖ステラシアターでのフリーライブで声出しライブを復活させたましたね。2023年には日比谷野音でライブを果たし、次は何かと思っていた矢先の2024年の解散のお知らせ。
いつかは来る終わりの瞬間。まだまだ先の未来を見たかった。でも最も輝いている瞬間に花火のように消えるのもまた白キャンらしいのかなと思います。だからその最後まで閃光のように迸る輝きを余すことなく記憶に残しておきたいと思うのです。
たぶん君は忘れているのでしょうが、ある日東京から愛媛に戻ることを嘆く私に「全国のどこにいても見つけることの出来るアイドルになるから」と言ってくれたことがあります。
それからの君は全国区の各種メディアに多数出演し続けているばかりか、2022年12月16日に1st写真集「偶像に生きる」を発売。そして今や知らない人はいないスーパーアイドル小野寺梓として、あの日の言葉を現実にしてくれました。
今ではチェキ券を買うのも大変な人気アイドル。昔は間近でみて見ていたライブも、近年はチケットを求める人が多くてずいぶんと後ろで見るようになってしまいました。でも沢山のファンに囲まれて大きくなっていく君をファンとして追えることは幸せなことです。
寂しい気持ちがないと言えば嘘になりますが、それでもずっと応援したいと思えるのは、ファンが数人しかいなかった昔も、幕張メッセという日本有数の会場に立つようになった今でも、ひとりひとりに向けて歌う君の心が確かに届いているから。だから私は明日もきっと涙してしまうのでしょうね。
真っ白なキャンバスが解散しても、あずちゃのアイドルとしての道は続きますね。来年の生誕祭にはどんな手紙を綴るのでしょうか。
はじめての特典会
あ「誰推しなの?」
し「箱推しです」
あ「じゃあ梓推しだよね!梓推しって書いとくから!!」
半ば強引にTシャツに”あずさ推し”と書かれたあの日。あずちゃに出会えて私の人生は豊かになったよ。
私はあなたのファンでいられて
世界で一番幸せなヲタクです。
いつもありがとう
これからも夢の続きを、共に。