現在はパレちゃレファイナルに向けて、フォロワー獲得チャレンジや300kmマラソンなどの企画で話題となっているPalette Parade(パレパレ)。
そんなパレパレであるが、筆者は各種事情によりデビューライブを現地で見ることは叶わなかったのだが、2021年11月21日に池袋SOUND PEACEにて行われた「エキセントリックトーキョー」及び同月23日にZepp Hanedaにて行われた「アイドルアラモード Vol.5」初観戦を果たすことが出来たので、そのファーストインプレッションを記したいと思う。
『Palette Parade』は真っ白なキャンバスの所属する株式会社PLAYYTEの新組織『Atelier IBASHO(アトリエ イバショ)』が開催した真っ白なキャンバス(略称:白キャン)&新グループの合同オーディションにて新グループのメンバーとして最終合格を果たした6名で結成されたグループである。
当初予定されていたデビューライブをメンバーの新型コロナウイルス感染により延期されるという憂き目に会うものの、2021年9月5日に下北沢シャングリラでのお披露目ライブ『First Parade』にてデビューした。
パレパレは白キャンと同じくプロデューサー青木勇斗がその制作を担っており、アイドルの多くが歌う恋や愛といったフレーズは登場しない。
悩みや迷いを抱えながらも懸命に生きる者が前に進んで行く、そんな人間の美しさや強さが表現されており、人間賛美という共通項をもつ二つのグループ。
白キャンが影の中に光を見出すイメージに対して、パレパレは光の中に陰を持つといったイメージであろうか。
その楽曲の多くは白キャンでおなじみの古屋葵氏とmimimy氏が手掛けており、ロックをベースにしながらも、そこに管楽器をプラスしたパレードを感じさせるポップで前向きな楽曲はそのクオリティの高さも相まって公開当初から各所で話題になっていた。
また、近年はアイドルのヴィジュアルレベルの向上が著しいが、そんな中でも特筆しておかねばならないほどメンバー全員が抜群の美貌を誇っている。
楽曲の良さに加えて、高いビジュアルを誇る。そして何よりも各々のメンバーが個性的でありながらも互いを気遣う優しさをもった者ばかり。
人気となる条件は揃いすぎているくらいのパレパレであるが、アイドルグループを応援するうえで最も大切なのはそのライブの空気感である。
言葉にすることはできない、ステージから放出される熱量が自分の中に溶け込むか。
だからどれだけ良い楽曲を揃えていても、そのメンバーでしか表現できないオリジナリティのある世界を見せることが出来なければ意味がない。
なまじ事前の知識があり、また白キャンの妹分としての期待値が高いばかりに、初めてのパレパレのライブを見ることは楽しみでもあり、また不安でもあった。
しかしながら、そんな思いはライブが始まると全くの杞憂であったことを思い知らされるのである。
高らかな管楽器の音色が印象的なSEは まさにこれから物語のパレードが始まるという風景が眼前に浮かぶかのよう。
心地よい音色に身をゆだねている中、メンバーが入場してくる。画面で見るよりも実物のほうが遥かに可愛いメンバー達に目が釘付けになる。
ライブは可愛さでするわけではないと分かっていても、抜群のヴィジュアルを前に心が高鳴るのは正直なところである。
そんな中でライブ本編が始まり、私の目に一番最初に目に留まったのは白川千尋だ。
パレパレの最年少メンバー。その全身を使ったダイナミックなダンス、そしてそれに加えて弾けるような笑顔に心奪われる。
その若さゆえに、まだまだ発展途上で未完成。それでも曲の重要部を任されている所に周囲の期待の大きさを感じさせると共にライブ毎に成長を遂げる姿にグループの未来を感じさせる存在。
そんな白川千尋の魅力が詰まった楽曲が『わたしトレイン』
パレパレの楽曲第一弾として発表された本曲は華やかでありながらも懐かしく郷愁を感じさせる名曲。
シンコペーションとシャッフルが合わさった非常に難しい曲であるが、それがデビュー時の第一弾の楽曲として選ばれているところにパレパレというグループの奥深さを感じさせる。
MVも美しい映像に仕上がっており、その歌詞は合格発表後1週間も経たずに生まれ育った福岡の町から家族や友達と離れ 夢を追うために総てをかけて上京した白川千尋の物語とリンクするかのよう。
そしてライブが進行すると、緋本はぐみの唯一無二の存在感に目が行く。
圧倒的な美少女ぶりだけに留まらず、高い楽曲理解度がひしひしと伝わる表現力、そしてひとたび歌えば楽曲の雰囲気を一変させることが出来る特徴的な声。
ツイキャスなどでは弾き語りを披露するなど、その音楽的な実力は折り紙付き。繊細さと大胆さを兼ね備えたセンス、そして俯瞰的に見ることの出来る分析力はグループの大きな武器となりそう。
そんな緋本はぐみの注目曲が『スタートライン』
パレパレの7番目の曲として登場した本曲は疾走感あふれるメロディーが耳に心地よい。
1番の終わりで「始まりの色」というフレーズはその一言で歌の世界を大きく動かすかのような彼女の声の魅力がいっぱいに詰まっている。
ステージでは個性的な面々がそろったグループの中でもひときわ特徴が光る森月音羽を目で追っている自分に気付く。
顔、声、仕草とすべてに可愛さを感じさせ、その場に居るだけで抜群のキャラクター性を発揮する彼女。
ここぞというポイントでの魅せ方を分かっているそのパフォーマンスはステージに華やかさを与える。
また、毎回ライブ後にセトリをツイートしたり、遊び心いっぱいの予定表を毎月作ったり、自作のTwitterのヘッダーを頻繁に変えるなどSNSにおいても個性を発揮しているのにも注目だ。
そんな森月音羽の注目曲が『心羽根模様』
パレパレとして初めてライブで披露された楽曲であり、グループの雰囲気を現わすかのような楽しい一曲。
曲中のソロダンスのパートでは彼女の纏う圧倒的な癒しの空気感で、そのグループのマスコット的な魅力に引き込まれる。
そして、歌の面に目を向けると中野小陽のバランスの良さが際立つ。
整った美貌とそのスタイルの良さはそれだけで十分すぎるほどの輝きを放つが、それだけに留まらず安定感のある歌唱力と情緒に溢れた魅惑的な表情に心を奪われる。
ダンスについては加入時に未経験だったこともあり発展途上なものの、
細部にわたって意識がされた丁寧なものであり、むしろダンスを踊るための筋力が追い付いた時の完成形への期待が高まるもの。
現時点においてもその手先のしなやかな動きは気品すら感じさせるものであり、デビューライブからの成長の著しさに驚かされる。
そんな中野小陽の注目曲は『可愛くなる』
本曲は曲のタイトルである「可愛くなる」というフレーズの繰り返しが特徴的なグループの楽曲の中で一味空気を纏わせた曲
優雅さと繊細さの中に大人の雰囲気を纏わせて彼女が歌う大サビは、楽曲の味わいを一段と深めてくれる。
パレパレのステージを見る上で、オーディション審査1位合格者である葵うたの存在は外せない。
高い歌唱力でグループをけん引する存在であるが、一方では現状ではあまりに粗削りで未完成。
その溢れんばかりの素質の片鱗しか見せていない印象を受ける。
パレパレの楽曲はデビューしたてのアイドルが歌うにしては難しすぎるものが多いのだが、葵うたの才能を目の前にすると、意図的にそのような楽曲を用意したのだということに気付かされた。
ステージでミスがあった際には納得のいっていない表情を見せることもあるが、どこまでも負けず嫌いのそんな一面がより彼女を魅力的に映えさせる。
そんな葵うたの注目曲は「フレフレ」
頑張るすべての者に送られる本曲は本曲はグループコンセプトを感じさせるものであり、ファンの人気も高い。
「死ぬ勇気も生きる勇気もなくて迷い続けた」というひとつ間違えると空空しくなってしまう一説があるのだが、それを圧倒的な熱量で歌い上げ曲に魂を込める葵うたは見ておくべき価値がある。
最後に特筆しておきたいのが比嘉ゆめのという奇跡の物語。
彼女はアイドルへの憧れはありながらも遠い世界の事と思っていたが、真っ白なキャンバスの小野寺梓の特典会にて「だったらアイドルになったら」という一言があったことをきっかけにしてアイドルを目指したという。
そんな彼女は最初で最後のアイドルへの挑戦を行うのだが、完全に素人からのスタートのためオーディションでは苦しい戦いを強いられる。
しかしながら、そのひたむきな頑張りがファンの心を動かし、当落線上の厳しい闘いを乗り越えて最終的に合格を果たした。
楽曲のコアパートを担う優しい声と確かな歌唱力、いかなる時でもアイドルを全うする微笑みはパレパレというグループを包み込む。
多くのアイドルを研究していることが伺えるそのステージングは見るものを否応なしに楽しくさせるともに、少し前まで素人だったとは思えないほどアイドルのオーラを放っている。
そんな比嘉ゆめの の注目曲が『スプラッシュアンカー』
メンバーが体当たりで臨んでいるMVも見どころの本曲はテンションコード満載のキャッチーで楽しい曲。
彼女が冒頭で歌う「夢の麓まで一直線走る」というフレーズは、彼女の夢と奇跡のシンデレラストーリーの始まりを感じさせる。
色々な魅力があるパレパレであるが、グループを語るうえで最後に触れておきたいのが『Life is Dramatic』という曲だ。
オーディション合格発表前夜のメンバーの気持ちが歌詞となっており、様々な思いを背負ってメンバー、激動のアイドルの世界に飛び込んでいく彼女たちとリンクするドラマティックな歌の世界は傑作の呼び名が高い。
難解な楽曲であるため、現状においてはメンバーがその楽曲の魅力を完全に引き出しているとは言い難いのが正直な所ではある。
しかしながら、自らの現在の実力を噛みしめながら、己の総てをかけて表現しようとする様は美しく、見る者の心を打たずにはいられない。
おそらく、そう遠くない未来に彼女たちはこの曲を自分のものとし、歌いこなすようになるだろう。
だからこそ、刹那の速度で進化していく彼女たちの今を記憶に残しておかなくてはならないと強く私に思わせた。
新型コロナウイルス等の影響によりここ数年は例年とは異なった環境で居地場われていたものの、2022年は熱い夏の季節にTIFが帰ってくる。
おそらく、メインステージ争奪戦に参戦するであろうパレパレ。
その頃の彼女たちはどんな成長を遂げているのだろうか。
雛鳥が大空に飛び立つ瞬間は、間近に迫っている。
そんなことを思わせた、私のパレパレのファーストインプレッションであった。