2022年6月26日Spotify O-WESTにてPalette Parade(通称:パレパレ)1stワンマン『私たちがパレットパレードです。』が開催された。
パレパレは2021年9月5日に初ステージを行ったデビューわずか10ヵ月のグループ。それが2 階席を合わせて最大600 人のキャパシティを誇るO-WESTという都内屈指の会場にてワンマンライブを開催するのは異例の事。
販売されたワンマン特別グッズも早々に完売するなど、客席を埋め尽くす観客の姿に改めてその勢いを知らさせる。
会場への入場前には各メンバーの旗が飾られており、またステージ背面にはPalette Paradeのグループ名を模されたボードにセットが組まれていて開演前からいやがおうにも気持ちが盛り上がる。
ライブは聴きなれたSEからスタート。いつもは曲の終了間際にメンバーが入場してくるのだが、本日はファンファーレ部分が終わるとメンバーが入場しSEのダンスを初披露。この日に合わせてのスペシャルな演出は出だしから満点の出来だ。
1曲目『明日のわたしは主人公』が始まる。葵うたが「O-WEST全力で盛り上げに来ました。私たちがPalette Paradeです。」と煽りを入れると会場のテンションは一気に加速する。
曲の間奏では比嘉ゆめのが「一緒にぐるぐるするよ」と言い、客席を巻き込んでのパフォーマンス。
各メンバーの気合の乗ったパフォーマンスと相まって、1曲目から”これぞパレパレ”といった楽しさいっぱいの始まりとなった。
比嘉ゆめのは2曲目は『スプラッシュアンカー』でも大暴れ。イントロ部分で配信のカメラに向けてレスを向けると、その後の歌い出しの「夢の麓まで一直線走る」という彼女の名前の入ったフレーズをこれぞアイドルという最高の笑顔で決める。
フリコピも楽しい、ファン人気の高い曲の登場にますますライブはますます活気づく。
その後のMCではメンバーが考えてやりたかった会場前の旗や、ステージのモニター、グループ名のボードが実現できたことの喜びを緋本はぐみが語り、メンバー各々の本日に向けての気持ちが伝えられた。
3曲目は『スタートライン』
曲前には比嘉ゆめのが本曲のクラップの練習を行ったあとで曲がスタート。練習の甲斐あってクラップが成功すると白川千尋が「満点!でももっと盛り上がっていきましょう!!」と彼女の持ち味の元気いっぱいに煽りを入れる。
スタートラインが終わると生誕の特別企画として個人のソロダンスパートが披露。
その中で個人的にもっとも印象に残ったのが中野小陽のダンス。スタイルの良さを生かし、長い手足でしなやかに舞う姿はとても優雅で美しかった。
中野小陽はグループでもっともダンスに苦労したメンバーである。パレパレはその明るさがセールスポイントとなっていることもあり、メンバーは個々の抱える苦悩を見せることは少ない。
しかしながら、折に触れ自身のダンスについての未熟さに触れており、その心情は想像に難くない。
いつでも優しく、穏やかな微笑みの裏で彼女は努力を重ねた。ワンマン前には通常のレッスン後に白川・比嘉・葵が一緒に住んでいる通称パレパレハウスに赴き、ダンスを練習する様子も見られている。
そんな彼女が大一番の舞台で笑ってダンスを踊る姿は、何物にも代えがたい尊く、美しい景色であった。
ソロダンスに続く4曲目は『心羽根模様』。パレパレの2曲目として世の中に出た本曲はポップな曲調もあってファン人気が高い。
そんな本曲の中でも時に注目度の高いのが森月音羽のソロダンスパートだ。
森月音羽はパレパレのマスコット的な、そこに居るだけですべてを癒しに変えてしまう強大なキャラクター性を持つ。
今回のライブでは彼女のイラストによるパンフレットが退場時に配布されるなどマルチな才能を見せている。
そんな彼女はTwitterのヘッダーを毎日変えたりなどのユニークさを持つだけでなく、毎回ライブの後のセットリストを上げたり、かつては月次の予定をまとめたりなどの日が当たりにくい部分での貢献も大きい。
人というのは良くも悪くも気付かないうちに変化してしまう生き物であり、変わらずにいることはとても難しい。
そんな彼女はデビュー初期からいい意味で変わらない一貫した魅力がある。
これからも、いつグループを見ても森月音羽がいて、セトリがあって、そして笑っているという安心感は彼女にしか持ちえない魅力なのだ。
5曲目は『可愛くなる』。本曲はパレパレの中では曲調の方向性が異なることもあり、2022年の春以降は披露される回数が少なくなってしまった曲である。
そんな本曲は披露されることが少なくなったからこそ、個々のパフォーマンスのスキルの上達がはっきりと目に見える曲でもある。
大人の雰囲気を携えた曲の魅力をいっそう引き出すために添えられたメンバーの繊細な表情達は、彼女達の確かな成長の証を感じさせた。
可愛くなるを歌い終えるとステージは暗転し『Life is Dramatic』のハーモニーがアカペラで響き渡る。
ステージのスポットライトが点灯し人影が浮かび上がると、そこには葵うたと比嘉ゆめのというパレパレの歌の中心である二人がいた。
葵うたと比嘉ゆめのは言うまでもなくパレパレの歌唱の核を成すメンバーであり、その実力はワンマン前の企画で行っていた『うたゆめハモリ倶楽部』でも遺憾なく発揮されている。
そんな二人の歌声を私は刀と鞘のような関係であるように思う。
熱を帯びた葵うたの歌声は全てを打破するだけの力を持った強大な刀のよう。しかしながら、強大な刃はそれを収める鞘がなければ全ての力を出すことは叶わない。
対となる比嘉ゆめの歌声にはそんな強大な刃を包み込んで余りある、底知れない奥深さと優しさがある。
ちょっとでも違えば成り立たない異なった個性を持つ二人の歌声、それがかみ合ったパレパレの歌の世界はひとつの奇跡なのかもしれない。
素晴らしき二人のハーモニーの後は、メンバーのオーディション時の様子が納められた特別映像が流れる。何物でもない存在からアイドルになった女の子たち。
デビュー前の映像から、初のMV撮影、パレちゃレ、そして今日の瞬間と彼女たちの重ねてきた歴史に胸が熱くなる。
映像のラストには新しいアー写が映し出され、『PARADE』のMV映像と共にメンバーが新衣装で登場した。
7曲目の『PARADE』は7月19日に発売となるパレパレの1stシングル曲。グループの特徴づける王道のブラスポップはメンバーの魅力が全部盛りになったMVと合わせて公開から話題沸騰の作品。
フリコピを意識した振り付けや、曲間の合いの手パートなどはコロナによる声出し規制が解除された時代を先どって作られたことが伺える。
そんな本曲の初披露でひときわ強い印象を与えたのがパレパレの最年少メンバーである白川千尋だ。
白川千尋はその持ち前の元気いっぱいの明るさでパレパレの象徴となる存在。
名前に意味深な”白”の文字が与えられていたり、曲の主人公に彼女を思わせるものも多いなど、周囲の期待の大きさも相当なものである。
そんな彼女にとってデビューからこの日のライブまでの日々は、周りからの期待と現状の自己の姿との乖離に悩んだ日々であったのかもしれない。
それでもいつも自分と真摯に向き合い、時に沈んでもまっすぐに進む彼女の姿は、抱える悩みですらもかけがえのない宝物であるのように、青春の煌めきを感じさせてくれた。
きっとそれは、どんな困難も必ず乗り越えていくという彼女への信頼、そして無条件に周りの人を幸せにしてしまう人柄に起因するものであろう。
そんな彼女は経験した全てを乗せ、無限の元気、少女の憂鬱、未来への希望を感じさせる素晴らしいパフォーマンスを見せた。
将来的にはアイドル界を代表する存在になるであろう白川千尋。一段と大きく成長した彼女の姿を見て、その日はそんなに遠くはないのかもしれないと思えた。
8曲目はパレパレの始まりの曲『わたしトレイン』。ライブも終盤を迎えつつあるのに、ますます鋭さを増していくパフォーマンスに何段階もレベルアップを果たしたメンバーのたゆまぬ努力の跡を見る。
本曲の落ちサビではファン有志により準備されたメンバーカラーのサイリウムが一斉に点灯。光に包まれた幻想的な光景は会場が一体感に包まれた瞬間であった。
9曲目は全員での『Life is Dramatic』。オーディション合格発表前夜のメンバーの気持ちが綴られた歌詞はデビューから10ヵ月の時を経てさらに感慨深いものとなった。もう、言葉はいらない。ただこの瞬間を感じていれば良いのだ。
10曲目は『シャイガール』
葵うたがアカペラで歌い出しを行い、その圧倒的な歌唱力を見せつける。本パートは直前インタビューにて彼女がやりたい事ととして語ったことであるとライブ後にネタばらししている。
MVではパレちゃれの300kmマラソンの映像が充てられているように、パレパレの中でも特に強い感情が込められた本曲。そんな曲の中で一度見たら忘れられない景色を作り出すことが出来るのが緋本はぐみという存在だ。
緋本はぐみは今回のSチケの入場特典にもなった写真集の撮影を行っており、配信にて弾き語りで披露する歌、そしてファッションや文章など多方面において高いセンスを発揮する唯一無二の存在感を発揮するメンバー。
そんな彼女は本曲の冒頭においてメンバーの輪の中から飛び出し周囲を見舞わすという振り付けがあるのだが、歌うことなく表情だけで絶大なインパクトを与える。
そして曲後半の落ちサビ前においては同様にメンバーの輪の中から飛び出し今度は手を差し出すという振り付けを行う。ここでも歌うことなく、真っ直ぐ前を見つめるだけで、物語を伝えることが出来るのは彼女だけであろう。
明るくエネルギッシュなメンバーが多いパレパレにおいて、存在するだけで奥深さを生み出すことが出来る彼女の存在はこれからグループが大きくなるにつれてますます重要性を増すであろう。
11曲目は本ライブにて初めて明かされた新曲『起きて笑おう果報者』メンバーの想いを歌詞にしてもらったという本曲は頑張るキミに送る、直球の応援ソング。
曲中に充満するフレッシュなエネルギーは正にパレパレの真骨頂ともいえる内容。間奏でのウェーブなど、ライブで遊べる曲になりそうだ。
そして、そんな本曲の落ちサビを担当するのが比嘉ゆめの。パレパレの歌唱のコアアパートを担う彼女はグループで最もテクニカルな歌唱力を持ったメンバー。優しく耳に響く声質を生かした彼女のハもりは1級品だ。
彼女はアイドルや歌唱についての研究に余念がない。オーディション時の完全な素人の状態からわずか10ヵ月でこれほどまでのレベルに達したのは脅威だ。
高いテクニックを持ち全体が見ることの出来る彼女は、あふれる能力が故に自らの表現を優先するよりも周りに合わせる印象もあった。しかしながら、それは悪いことではない。
誰しもを気遣わずにはいられない。そんな彼女の深遠で全てを包み込む優しさがこれまでのグループにはきっと必要だったのだ。
新たな境地を見せたグループの中で、彼女は思いっきり自由に、そして歌うことを心から楽しんでいたように思う。
リミッターを外した彼女の歌声は、まだまだ奥深く底の見えない彼女のヴォーカリストとしての才能を強く見せつけた。
彼女の歌声はいつでも優しく、そして何気ない日常に勇気を与えてくれる。そんな楽しく笑い歌う彼女の姿を私は混じりけの無い心で好きだと思った。
そんな彼女はアイドルとしてのキャラクター性においても特筆すべきものを持つ。これから活動を広げていくパレパレの未来を左右するのキーパーソンと言って良いだろう。
オーディション下位からスタートし、今ではグループの顔となるまでの存在となった奇跡のシンデレラの進化はまだまだ止まりそうにない。
楽しいライブもついに終わりの時がやって来た。ラストの曲は『フレフレ』。熱いライブの締めはやはりこの曲しかない。
一時間以上のライブを行ってきたとは思えないほどの圧倒的なエネルギーで葵うたが魂のこもった歌声を響かせると会場のボルテージは最高潮に達する。
そんな彼女は本ワンマン直前の1週間、TIFのソロ企画に参戦し配信を行うこととなった。
初めてのワンマン。ただでさえプレッシャーのかかる中、それに加えて厳しい闘いへの参戦の負担は想像を絶するものである。
しかしながら、彼女はグループを広く知ってもらうため、自らそのいばらの道を選択した。
過酷なスケジュールの中においてもレッスンの追い込みを全力でこなし、また配信においてもファンを全力で楽しませ一切の妥協なくやり遂げたのだ。
目の前の全てを全部やらないと気が済まない。そんな彼女のハングリー精神は優れた歌唱力を持ちながらも、満足せず更なる高みを目指す姿勢にも表れている。
だからこそ葵うたの歌は魂を帯び、聴くものの心を打たずにはいられないのだろう。そう、彼女がいる限り、パレパレはきっと大丈夫だ。
こうして記念すべきパレパレの1stワンマンライブは幕を閉じた。
各メンバーが考え、自らの力の限界までもがき、そして作り上げたステージは、今しか見ることの出来ない、強烈な閃光の輝きを残した。
ライブ後には9月3日に1周年ライブとなる『ファンファーレ』が渋谷wwwにて開催されることも発表され、さらに大きく飛び立つグループを感じさせる大団円となった。
これから先、さらに成長を遂げた彼女たちが今日のステージを振り返ったときに何を思うのだろうか。その答えは時しか知るべくもない。
だが、ファンとしては一つだけ確かに言えることがある。それは今日のステージは伝説と呼ぶにふさわしい、とても素晴らしいライブであったということだ。
未来の彼女たちにそう言い残して、私は本文の筆を置きたいと思う。
白川千尋によるライブ締めのメッセージ
「この辺でパレードも終わりということで。今日が終わっちゃうのが寂しいなと思うんですけど、でもうちらならもっと最高の思い出を作れると思うので、これからも、もっともっとパレパレについてきてくれると嬉しいです。」
各メンバーのコメント
比嘉ゆめの
本日は来てくれてありがとうございます。私は皆さんと出会えたのは必然だと思っています。これからも一緒についてきて欲しいです。よろしくお願いします。
葵うた
今日は本当にありがとうございました。みんな沢山ペンライトとかふってくてれて、煽りものってくれて嬉しかったです。これからもよろしくお願いします。
緋本はぐみ
今日は来てくれてありがとうございます。自分が思っていたより全然人が多くて、ずっと緊張していたんですが全部楽しかったです。これからもよろしくお願いします。
白川千尋
本日は本当にありがとうございました。もっともっと私たちと一緒に”幸せ”とか”最高”をみんなで更新していけたらと思います。本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
中野小陽
今日はこんなにも人が来てくれて本当に、本当に本当に嬉しいです。みんなとこの景色をこれから先もっと見ていきたいと思うので見守ってくれたら嬉しいです。よろしくお願いします。
森月音陽
本日はありがとうございました。とってもとっても楽しかったです。これからもよろしくお願いします。
1stワンマンライブ『私たちが、パレットパレートです。』セットリスト
1.明日のわたしは主人公
2.スプラッシュアンカー
3.スタートライン
4.心羽根模様
5.可愛くなる
6.Life is Dramatic(葵、比嘉アカペラ)
7.PARADE
8.わたしトレイン
9.Life is Dramatic
10.シャイガール
11.起きて笑おう果報者
12.フレフレ