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『真っ白なキャンバスフリーライブ2022夏』観戦レポート

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2022年7月9日に河口湖ステラシアターにて「真っ白なキャンバスフリーライブ2022夏」が開催された。

入場無料という驚きの内容と共に、新型コロナウイルスのまん延後は自粛されてきたコールアンドレスポンスが2年4か月ぶりに解禁されることがアナウンスされており、その動向はファンだけではなくアイドル業界からも注目を集めていた。

そんな本公演は内閣官房新型コロナウイルス等感染症対策推進室が定める「基本的対処方針に基づくイベントの開催制限、施設の使用制限等に係る留意事項等について」を遵守し、科学的な見地に基づく感染症対策に万全を期し実施されることとなった。

(参考までに本公演に際しての各種措置に係る政府指針との適合及び科学的有用性の検証については、本サイトの別記事においてまとめているのでご参照いただきたい。)

観客間の距離を確保するために1席飛ばしでの座席指定がなされ、河口湖ステラシアターの収容人数が約3000席の半分の1500席での開催とはなったものの、それでも白キャンの史上最大規模の会場。

無料バスやコラボ列車等の移動手段の確保が行われたとはいえ、東京からのアクセスが決して良いとは言えない会場の立地であったが、後世に語りるがれるであろうターニングポイントのライブを見ようと多数のファンが会場を埋め尽くしていた。

本公演は先述した入場無料やコールアンドレスポンスの解禁だけではなく、コラボ列車が到着する富士山麓電気鉄道の河口湖駅ではメンバー全員の等身大パネルとフラッグがお出迎えするなど駅と列車をジャック。

Photo by よしふぉとさん
Photo by よしふぉとさん
Photo by よしふぉとさん

そして地域の活性化のために、河口湖周辺の店舗「さざなみ」「富士眺望の湯 ゆらり」「ファミリーマート船津登山道店」と白キャンとのコラボが行われるなどライブ以外でも話題を提供していた。

「真っ白なキャンバスフリーライブ2022夏」に関する特設ページリンク

真っ白なキャンバスフリーライブ2022夏 | 真っ白なキャンバス 公式HP
真っ白なキャンバス フリーライブ2022夏 07.09(SAT) 河口湖ステラシアター

会場となる河口湖ステラシアターにおいてはメンバーの集合パネルが正面入り口前に鎮座しており、メンバー個別の のぼりも設置されているなど、これでもかというくらいに充実した内容でファンを出迎える。500円という破格の値段で販売された本日限定のライブTシャツに身を包んだファンが入れ代わり立ち代わり会場前で記念撮影を行っていた。

Photo by 相楽信之助
Photo by 相楽信之助

会場前からすでに楽しさのあふれる催しを満喫していると、あっという間に開演時間が迫ってきた。

ライブに先駆けてはメンバーがライブ中の注意事項の説明にてステージのスクリーンに登場。小野寺梓が「聞こえますか?」とファンに呼びかけると、この日を待ち望んでいた客席からは大きな歓声がステラシアターに響き渡った。

また、浜辺ゆりなにとっては白キャンに加入してから初めて聞くステージでのファンの声に歓喜の姿を見せる。

メンバーによる影アナが終わると会場はえも言われぬ高揚感と共に静けさを取り戻す。それはまるで嵐の前の静けさのように、各々の想いを胸にやってくるその瞬間を見守っていた。

ステージのモニターが消灯しSEが流れ、ファンのコールが沸き起こる。天井の照明がゆっくりと下降する。カクテル光線が会場を照らす。メンバーの姿はまだ見えない。

1曲目『アイデンティティ』

ファンの大歓声の中、小野寺梓が「みなさん私たちが真っ白なキャンバスです。盛り上がっていきましょう!」とアナウンスをすると会場はこの時を待ち望んでいたとばかりにコールの激流が吹き荒れる。

ファンの「いくぞ!」の声と共にステージ後方の幕が落とされ、壁面に設けられた高段のステージからメンバーが登場する演出も相まって会場のボルテージは一気に沸騰。狂おしいまでの熱気に包まれた、メンバーとファンとで作り上げる真っ白なキャンバスのライブが戻ってきた。

曲の終盤ではメンバーが高段からステージに降りてくる。移動する間メンバーはずっと手を振りながら「ラララ~」と歌い続ける。ファンもサイリウムやこの日のグッズであるメンバーの顔が書かれたうちわを持ち手を振り続ける。

長年待ち望んだこの瞬間は夢のような景色の中で、確かな現実として確かに存在していた。

Photo by よっきゅんさん

2曲目『白祭』
「河口湖ステラシアターお祭り騒ぎする準備できてる?」と三浦菜々子が煽ると会場のテンションはさらにヒートアップ。クラップにコールが楽曲に彩を加える。

3曲目『ダンスインザライン』
本曲はコロナ禍以降に発表された楽曲であり定型的なコールはない。しかしながらファンは即座に対応し、ポイントポイントでコールを繰り出していく。

これからのコロナの状況次第ではあるものの、徐々に声出しが解禁されていくであろう今後のライブの中において、どのようなにコールが生まれ定着していくのか、その経緯もまた興味深いところだ。

Photo by よっきゅんさん

4曲目『共に描く』
ファンとの共作により作られた本曲の序盤での登場は、今日のライブをファンと共に作り上げていくのだという演者側からの強いメッセージのように感じられた。

4曲を披露したところで最初のMCに突入する。メンバーの自己紹介に合わせてファンは思いの丈を込めてメンバーの名前を全力で叫ぶ。

MC後半には西野千明が「今日は声出しちゃっていい日じゃん?」と客席に声出しを煽ると、小野寺梓も「あずさもやりたい!みんな白キャンのこと好きですか?」と客席に問いかけ、ファンはそれに歓声で答える。

コロナ禍前は当たり前であった風景、2年4か月ぶりのシーンはファンにとって待望であったが、この期間ステージに立ち続けたメンバーが最も待ち望んでいた瞬間かもしれない。

ライブから突然歓声が消え、客席は蜜対策でスペースが空く、そしてマスクを着用することによって表情が見えなくなる。

演者側にとってその不安は聴衆が考える以上の物であろうことは想像に難くない。そして本心では声出しを望みながらも、感染予防を講じながらライブを行うためには声出しをしないように要請しなくてはならないジレンマを抱えることとなる。

そんな情勢下に翻弄された一人が西野千明である。彼女はロックバンドのライブに度々行ったことがSNSに報告されるなど、白キャンの中でも特にそのライブ感を大事にするメンバーである。

そんなライブを心から愛する彼女だからこそ、コロナ過においてステージに立つ事の怖さと、ライブを続けるために 今は辛くても感染予防のためのルールを守らなくてはならないことの重要性を自身のツイキャスで訴えることがあった。

しかしながら、そんな彼女の意図とは裏腹に”ルールを守ろう”という発言を一部の者に曲解され、”西野は声出し反対派だ”とありもしない噂が独り歩きすることとなる。

もちろん多くの白キャン、そして彼女のファンはライブを愛す西野が噂のような発言をすることはないことは知っており惑わされる事はない。しかしながら、コロナ禍の行き場のない鬱憤を孕んで、ありもしない噂は彷徨うこととなる。

だが、西野はその件に関して自身のSNS等で否定することも出来たであろうが一切それをしなかった。そして彼女は黙して語らず、ライブでの姿にて自身の真実を示した。

そう、彼女はきっとすべて分かっていたのだ。だからこそ誰もがどうすることも出来ない、そんな行き場のない悲しみすらあえて受け止めたのだ。

Photo by よっきゅんさん

タオルを振り回しながら歌われた5曲目『闘う門には幸来たる』の笑顔、そして6曲目『ポイポイパッ』の終盤で「白キャン最高」と叫んだ西野は会場の誰よりもライブを楽しんでいるように思えた。

そして『ポイポイパッ』ではメンバーが大きな水鉄砲を持ち、客席を駆け回るという演出が行われた。勢いあまってPA席に水をかけてしまい、スタッフが慌てて止める様子はご愛敬。

西野千明は「ずっとインタビューの際に水を使いたいですっと言い続けてきたので嬉しいです!」と夢が叶った事を無邪気に喜んだ。

Photo by よしふぉとさん

曲中に遠くの客席まで行っていた橋本美桜はラスサビ前にステージに戻れないという、ステージ上の動きを計算しつくしている彼女にしては珍しいシーンも見られた。それはライブをメンバーも楽しんでいることを示す象徴的な瞬間でもあった。

曲の切り替わりのタイミングを見計らってステージに戻った橋本がお茶目に手を合わせて客席に謝る。そんな彼女の何気ない仕草は、誰しもに愛される彼女の柔らかな人柄を感じさせてくれた。

Photo by よっきゅんさん

7曲目『untune』

会場を精一杯駆け回った後の1曲は白キャンにおいてはライブで披露されることの少ないレア曲の登場。サビ部分のファンと一体となったシンガロングは一段と強く、会場に響き渡った。

『untune』が終わるとメンバーは続々と裾にはけ、麦田ひかる一人がステージに残る。一礼をしたかのような動きの後、麦田によるソロのダンスパフォーマンスが披露された。

白キャン最大規模となったこの河口湖ステラシアターのステージで、たった一人で場を成り立たせることが出来るのは麦田の卓越したダンスセンスがあってのもの。その切れ味鋭く、そしてオリジナリティ溢れる世界観に飲み込まれる。

そんなソロダンスパートに使用された音楽は本ライブのために新たに書き下ろされたという。そしてそのダンスは麦田本人が振り付けを行ったものというから驚きだ。

白キャン再加入後に「変わりたい」と度々述べていた彼女の変化を、強く意識させる瞬間であった。

また、ソロダンスを終えた麦田に鈴木えまがマイクを渡すシーンは変わらない彼女たちが感じられる微笑ましい場面でもあった。

Photo by よっきゅんさん

8曲目『 Whatever happens, happens.』
ソロダンスに続く本曲では、また一段とファンの歓声が大きくなる。そのコールの濁流はよりうねりを増して会場を包み込んでいく。

9曲目『オーバーセンシティブ』10曲目『レイ』とノンストップで6曲を披露しファンに息をつく暇を与えない。

白キャンにとってコールがあったのは白キャンにとってのメジャーデビューシングル『桜色カメラロール』(17番目の曲として登場)まで。それ以降の本日公開された33番目の曲として登場する『キャンディタフト』まではコール無しの時代に発表されたものと比率としてみると半々となる。

時間的なものを見ても同等に約半分となるのだが、この日のライブにおいてはその時代の境目や違和感といったものを感じさせることはなかった。この辺りは考え抜かれたセトリ構成の妙といったところだrぴ。

Photo by よしふぉとさん

『レイ』が終わると会場は暗転し、ステージのスクリーンにメンバーそれぞれがこれまでの白キャンと自身との関係に語った映像が流される。各メンバーがアイドルとしての笑顔の裏に秘めた葛藤やライブに対する深い想いに胸を熱くする。

映像が終わると同時に軽快なドラムのビートが流れ、新衣装に身を包んだメンバーが登場した。

11曲目 新曲『キャンディタフト』

本曲『キャンディタフト』は白キャン初の恋愛ソングであり、新たな一歩となる、大事な大事な新曲として登場した。

個人的な感想になるのだが、キャンディタフトはMVを見た段階ではメンバーは抜群に可愛いものの、7人がそろって登場するシーンがなかったこともあって自身の中ではそれほど強いインプレッションは感じなかったのが正直な所であった。

また、2年4か月ぶりの声出し解禁という歴史に刻まんとするライブを前に、白キャンの根幹を成す強烈なメッセージ性が見えて来ないという点も当時の私の心を満たさない一因であったように思う。

しかしながらライブで本曲を聴いた後は自身の中でも好きな曲に心変わりを遂げる。

恋愛という人間の持つ強い感情。それをストレートに歌にのせて余すことなく表現するメンバー。今、ここで、この瞬間にこの曲を歌うことに意味があったと気づかされる。

そう、白キャンはいつだってライブの中に、そして全力で生きるメンバーの中にこそ求める心があるのだ。

曲の終わりに「君が好きだ」と小野寺梓が叫ぶ。一陣の風が吹き抜けていく。気付けば河口湖ステラシアターの壁面は開いていて、そこから空が見えた。

Photo by よっきゅんさん

12曲目『ルーザーガール』13曲目『わたしとばけもの』
両極ともに構成上コールは入れにくい曲ではあるが、コロナ過の期間においてたゆまぬ研鑽を重ねてきたメンバーの確かなパフォーマンスの実力でファンを魅了する。

白キャンにはエース 小野寺梓、そして歌姫 三浦菜々子という巨頭が存在しているが、場面場面において各々のメンバーが主役を張ることが出来るのも強みのひとつ。

鈴木えまは唯一無二の声、麦田ひかるは卓越したダンスで白キャンの世界観を構成する。西野千明はライブの起爆剤として欠かせぬ存在であり、浜辺ゆりなは無限の成長力で未来を感じさせる。

そして橋本美桜は第3のボーカル、そして各メンバーのフォローなど目に見えない貢献が高いものの、周りをバックアップするその立ち位置上、ややステージではやや目立たない損な役回りでもあった。

しかしながら、本ライブにおいては事前の特典会において「自分の限界を超える」と述べており、正に有言実行と言える歌もダンスも素晴らしいパフォーマンスぶり。

一つ上のレベルでの総合力の高さは、完成されていると思っていた橋本について、まだまだ未完成の潜在能力の塊であると自身の認識を改めさせられた。

ライブ一時間をゆうに超えて本日2回目のMCが行われる。MCでは新曲『キャンディタフト』や新衣装についての話や演出について触れられる。

14曲目は『空色パズルピース』
三浦菜々子が「今日という日が私たちと皆さんの新しい思い出のひとつのピースになりますように」と語り、アカペラで歌が始まった。

三浦は本ライブ前に喉の不調にみまわれ、約3週間ステージからその姿を消した。歌の中心である彼女の不在は白キャンにとって大きな痛手である。

表現者としての才に溢れているが故に、三浦は大きなライブの前には苦悩の海に沈んでしまうことが多い。

そんな彼女にとって、自身の声を失うというのはどれほどの重圧であったのかは我々の想像を絶するものであったであろう。その心中については彼女のブログを見ていただきたい。

三浦菜々子『2022/07/09』
こんばんは真っ白なキャンバスフリーライブ2022夏ありがとうございました!!来てくださった方も配信を見てくださった方もありがとうございます!あ、ブログお久しぶ…

だがファンは知っていた。どんな苦悩に苛まれても、その歌を求める者がいる限り彼女は何度でもよみがえることを。そう、彼女はどんな高い壁も乗り越える天才だということを。

白キャンの歌は三浦なくしては存在しえない。不死鳥の咆哮のような彼女の歌声は河口湖の空に高らかに響き渡った。

Photo by よっきゅんさん

15曲目『HAPPY HAPPY TOMORROW』
本曲では6曲目の『ポイポイパッ』に続き、曲中にメンバーが客席を駆け回るという演出が行われた。

鈴木えまは一生懸命に階段を上がりながら、ひとりひとりのファンに丁寧に手を振りながら駆け抜けていく。ファン想いな彼女らしい愛らしい風景に心が温かくなる。

Photo by よっきゅんさん

ステージにメンバーが戻ってくる時にはバブルマシンが稼働しており、空を舞うシャボン玉はすっかり日が落ちた会場のライトに照らされて幻想的な空間を演出する。

なお、このバブルマシンは結構前に購入して準備していたものの、会場の制約によりなかなか使用する機会がなかったものを今回ようやく使用することが出来たとこのこと。満を持しての秘密兵器の投入となった。

Photo by よしふぉとさん

16曲目『全身全霊』
留まることのないライブの勢いはさらに加速し佳境を迎える。落ちサビでは盛大なクラップが会場を包む。メンバーのパフォーマンスはさらに鋭さを増し続ける。

まだこの瞬間に包まれていたい、だが、時間は無常にあっという間に過ぎ去っていく。

Photo by よしふぉとさん

17曲目『SHOUT』
白キャンというよりも、今やライブアイドル界のアンセムと言っても過言ではない本曲が満を持して登場した。この日一番のファンの歓声・・・いや、心からの叫びが会場を埋め尽くす。

アイドルとして笑顔を届けるために近年は極力泣かないことを心がけていた小野寺梓はファンの想いの結集した”あずさ”コールに肩を震わせると、涙をこらえきれなくなった。

声出しのあるライブへの思い入れを熱く語っていた彼女のとって会場の大歓声は長らく望んでいたもの、そしてそんな彼女が歓喜の末に流す歓喜の涙は その会場にいた全ての者が望むものであっただろう。

橋本美桜も自身のソロパートでイヤモニを外し、自らに向けられたコールを聴き満面の笑みを浮かべる。

Photo by よしふぉとさん

18曲目『PART-TIME DREAMER』

三浦菜々子が「私たちの目指す、もっと先のもっともっともっと大きなステージ。その夢が叶う日まで、皆さんと手を取り合って駆け抜けていきたいなと、今日ライブをしながら改めて強く感じました。次で最後の曲になります。最後、私たちとひとつになって最高の時間にしましょう。 聞いてください『PART-TIME-DREAMER』」と語り、曲が始まる。

『SHOUT』で限界まで出しつくされたように思われた歓声はまだまだ止まらない。興奮のるつぼの中、ラスサビでは白キャン初の特攻が行われ、銀テープが打ち上げられた。

銀テープにはメンバーのコメントが印刷されており、細部にまでこだわりつくされたライブであることを改めて思い知らされる。

ライブ本編が終了しメンバーが裾に下がると、もうすでに待ちきれないと言った様子でアンコールの音頭が始まった。

長らく忘れていたこの感覚。身体はへとへとで声はガラガラ。それでも自身の中から湧き出るアンコールの声を止めることは出来なかった。今日という日の感動を体に刻むかのようにファンの大きなアンコールが会場に轟いた。

Photo by よっきゅんさん

アンコール第1段、19曲目『桜色カメラロール』
鍵盤の旋律とともに本日のライブTシャツに身を包んだメンバーが再登場する。会場に再びライブの息吹がもたらされる。

浜辺ゆりなは加入してから初めて聞くファンの声援を受けて満面の笑みを返す。3日後に加入から2周年を迎える浜辺は新たな体験を経て、また一段と大きく進化したように思えた。

Photo by よしふぉとさん

アンコール第2段、20曲目『自由帳』
近年は披露されることがめっきりと減ってしまったが、やはり節目のライブには欠かせない名曲。ラストのオーイングは感染防止対策のため肩を組むことは叶わなかったものの、それでも会場の心はひとつになった瞬間であった。

Photo by よっきゅんさん

最後の曲の前のMCではメンバーそれぞれが本日のライブの感想を語る。

他のメンバーが話していた際は合いの手を入れるなどしていた橋本美桜であったが、自分の番になった際にコメントの途中で感極まって涙を流す場面があった。

アイドルは華やかな世界のように見えて、その裏側ではファンに見せない苦労が沢山ある。グループの精神的支柱としてあり続けた彼女は様々な者の想いを受け止める中で、誰よりも耐えていたのかもしれない。

涙ながらに語る橋本美桜の頭を、西野千明が撫でてねぎらう。そんな同期の二人の絆は会場を暖かな優しさで包んでいた。

Photo by よしふぉとさん
Photo by よしふぉとさん

アンコール第3段、21曲目『いま踏み出せ夏』
ラストを飾るのは白キャンの夏を象徴する名曲だ。

曲の終盤にはステラシアターの夜空に花火が打ち上げられた。曲が終わっても打ち上げられ続ける花火をメンバーとファンで見上げていた。

ひと夜の夏の夢のような奇跡の時間はまもなく終わりを迎える。でも、何も考える必要はない。ただ、この瞬間を感じればよいのだ。そう、夢はこれから先もずっと続いていく。彼女たちがステージにいる限り。

夜空に浮かぶ花火、香る硝煙、そして目がくらむ程の眩き7つの光。私がいつしか年老いて、この体が朽ちてしまって、灰になりて消え去る時がきたとしても、この細胞が一つの欠片になる瞬間まで今日という日のことを忘れはしないだろう。

Photo by よっきゅんさん

ライブの最後は小野寺梓が「この時間をみんなと共有できたことが嬉しいです。今日でもっと頑張ろうと前向きな気持ちになれました。この期間をみんなで乗り越えられたから、これからどんな困難があってもみんなで乗り越えられる気がします。白キャンの応援をよろしくお願いいたします。みんなの気持ちも晴れやかにできていたら嬉しいと思います」と締めた。

穏やかな口調でありながらも溢れる想いが込められた小野寺梓の言葉は、コロナ過により冬の時代を迎えたアイドル界の雪解けを期待させるだけの”熱”を帯びていた。

Photo by よっきゅんさん

こうして河口湖ステラシアターにて行われた「真っ白なキャンバスフリーライブ2022夏」は終幕を迎えた。

本ライブは入場無料、無料シャトルバス、ライブを紹介する多数の動画、「FLASH」への広告掲載、河口湖駅のジャック、安価でのグッズ提供、そして地域の店舗とのコラボなどの企画が目白押しであり、相当の赤字となったことは想像に難くない。

しかしながら、プロデューサーの青木勇斗は「最高だったなあ本当に。来年も再来年もずーっとやりたいな。本日は本当にありがとうございました!」とライブ後に自身のTwitterに投稿した。

また次回はもっと充実させ、地域とのコラボも増やしたいとの野望を白キャンの会員制サロンにて自身が担当する「白キャンウェビナー」にて述べた。

これには今まで以上にアイドル界を盛り上げていかねばならないという彼の想いを感じると共に、Atelier IBASHOが掲げる「アイドルを通して”わ”を増やし、ちょっとの一歩を創る」というコンセプトの中にはアイドルやそのファンだけではなく、地域社会やそれに関わる多くの人も含まれているという、壮大な理念の一端に触れることが出来たように私には感じた。

ライブアイドルの歴史に刻まれるであろう、そんな伝説のライブを大成功させた白キャンは2022年11月18日の結成記念日にTOKYO DOME CITY HALLで行われる5周年ライブ『希望、挫折、驚嘆、絶望、感謝 それが、私。』に挑むことになる。

そのタイトルからどのようなライブが繰り広げられるのか私には全く想像はつかない。だが、ひとつだけ分かっていることがある。それは、このライブは見逃してはいけないということだ。

大きな困難を乗り越え、そして夢を紡いできた彼女たちの物語。

私はその奇跡が起こる瞬間を また期待してしまっている。

公式Twitterから

メンバーコメント

浜辺ゆりな
今日はお越しいただき、本当にありがとうございました。私、コロナ禍で加入したのでみんなの声を聞くのが初めてで、こうやって反応をもらえるだけでめっちゃ嬉しいです。今日をすごく楽しみにしてたから、終わっちゃうのが悲しい。加入して明後日で2年目になります。2年目になる前に、念願のみんなの声が聞けて嬉しかったです。これからも私たちをよろしくお願いします。今日は本当にありがとうございました。

西野千明
改めまして本日は来てくださって本当にありがとうございます。
みなさんどうでしたか?楽しかったですか? 久々の2年4ヶ月ぶりの声出しライブ、ものすごく、すごく楽しかったです。前までの声を出せる事ができた時期がすごく恋しかったので、今こうやってみんなの声がすごい聞こえて、本当に本当に嬉しいです。
まだまだ、こうゆう状況が続いてしまっているけど、少しずつでも良くなって、いつもでも声が出せるライブできる環境になれたらみんな嬉しいね。
今日は本当に本当に来てくれて、ありがとうございました。

橋本美桜
改めて今日はお越しいただきありがとうございます。今日、声出し解禁って言ってきたけど、いざみんなが声出ししてたら自分たちは2年くらいは聞いてないから「みんなダメだよ」って気持ちになっちゃうんですけど(笑)、今日は本当にみんなの解放感を見れて嬉しかったです。
4周年を迎える時にも言ったんですけど7人いる事も、みんなが声を出して応援してくれる事も当たり前じゃないなと思ってます(感極まって言葉に詰まり涙を流す)。
自分は結構冷めているように見えるんですけど、みんなの愛を感じれてすごく楽しかったです。 ありがとうございます。(西野千明が橋本の頭をなでてねぎらう)

三浦菜々子
本日はお越しいただきありがとうございます。このライブが決まってから今日まで「楽しみだな」という気持ちよりちょっと不安な気持ちがずっと勝ってしまって、不安だなと思っていたんですが、今日こうやってみんなの声を聞きながら、こんなに沢山の人が来てくれて、みんなの前で歌える事ってすごく幸せだなと改めて感じました。
今年の夏をみんなが振り返った時に、「ああ、白キャンのフリーライブがメチャメチャ楽しかったな」って思い出してもらえるようなライブになってたら、私たちもすごくすごく嬉しいです。今日は本当にありがとうございました。

鈴木えま
今日はみなさん本当に来てくれて本当にありがとうございます。久々にみんなの声が聞けて、白キャンに今いれる事がすごく本当に嬉しいです。
自分たちがみんなの居場所になりたいけど、今はみんなが自分の居場所を作ってくれているなって思っちゃって。 だから、もっともっと頑張ってみんなの居場所になれるように頑張ります。これからも白キャンをよろしくお願いします。今日はありがとうございました。

麦田ひかる
今日はありがとうございます。今日はみんなが少しでも晴れてた気持ちになれるようなライブにしたいなと思ってたんですけど、どうかな?
みんなの顔や声が聞けて、すごい嬉しい気持ちで幸せです。これからも、白キャンでずっとずっと続いて欲しいと思っています。今日はありがとうございました。

小野寺梓
2年4ヶ月もみんなの声が聞けなくて、どんどんアイドルさんも辞めていったりして、あずさ、長かった、すごく長かったです。もうこの未来が来ないのかなと思っていたけれど、今日みんなの声が聞こえて本当に嬉しかったです。
アイドルの終わりを考えちゃう時もあったりしたけど、今日、一生アイドルをしようかなって思いました。ありがとうございました。

「真っ白なキャンバスフリーライブ2022夏」セットリスト

1.アイデンティティ
2.白祭
3.ダンスインザライン
4.共に描く
5.闘う門には幸来たる
6.ポイポイパッ
7.untune
8.Whatever happens, happens.
9.オーバーセンシティブ
10.レイ
11.キャンディタフト
12.ルーザーガール
13.わたしとばけもの
14.空色パズルピース
15.HAPPY HAPPY TOMORROW
16.全身全霊
17.SHOUT
18.PART-TIME DREAMER
19.桜色カメラロール
20.自由帳
21.いま踏み出せ夏

これからどんな困難があっても、みんなで乗り越えられる――真っ白なキャンバス河口湖フリーライヴレポート(宗像明将) - 個人 - Yahoo!ニュース
2022年7月9日、真っ白なキャンバス(通称、白キャン)のワンマンライヴ「真っ白なキャンバス フリーライブ2022夏」が河口湖ステラシアターで開催された。この日は、コール&レスポンスなどの声出しが、白
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