はじめに
飽食の時代を生きる現代人にとってダイエットは避けて通れない いばらの道でもあります。
特に可愛く、美しくあることが求められるアイドルにとってダイエットに関する知識は必須の事項であると言えます。
世の中には色々なダイエット方法があふれていますが、ダイエットには健康を害してしまう様々な危険性があるため、その実施に際しては慎重に検討しなくてはなりません。
また、ダイエットの方法を誤ってしまうと、リバウンドにより太りやすい体質になってしまうこともあります。
本記事においては科学的に正しいダイエットのための知識をまとめると共に、健康を維持したままスリムになる方法について考察するものです。
ダイエットとは
語源となった英語の「diet」は日常的な食事の事を意味します。そこから派生して日本では食事の量を制限したり、運動をしたりして減量することを指すようになりました。
ダイエットについては各種研究や民間療法的なものなど世に多数あふれていますが、その効果は個人の体質に左右される部分も大きいため、万人に適用される定説的なものはないというのが現代における学術的な評価となっています。
そのうえで、一般的なダイエットとしては身体活動等で消費するエネルギーよりも、食事で摂取するエネルギーを少なくすることで体重を減らすことが目的となります。
ダイエットは短期的な減量を目的とするものと、中長期的な体型及び健康を維持する目的とするものとがあります。
本記事においては、後者の中長期的な体型及び健康の維持をダイエットの目的として記すこととします。
そのためには、下記の4つの事項を理解し、決して無理な状態とならないように調整しながら継続させることが重要となります。
①規則正しい生活
②カロリー(エネルギー量)を考慮した栄養バランスのとれた食事
③ランニングなど適度な運動
④心理的影響を考慮した計画
極端に食事を制限したり、特定の食品のみを摂取する偏ったダイエットは、短期的には体重の減量をもたらしますが、必須栄養素の摂取量が不足し、筋肉の減少、ビタミン不足による肌荒れ、カルシウムやビタミンD不足による骨粗鬆症、鉄分不足による貧血などの健康を損なうリスクを上昇させます。
また、ストレスが自律神経系に影響を及ぼし、リバウンドを引き起こしてしまうことにも繋がりかねません。
適正体重について
ダイエットに先駆けては、まず自分の適正体重を知ることが大切になります。
適正体重は体重と身長の関係から算出される、ヒトの肥満度を表す体格指数である「BMI (body mass index:ボディマス指数) 」を利用し算出します。
日本肥満学会では統計的に最も病気になりにくい体重となるBMI指数が22を「適正体重(標準体重)」としており、25以上を肥満、18.5未満を低体重と分類しています。
また、女性が美容上の目標とする体重として、BMI指数20とする「美容体重」がよく用いられます。
こちらはガリガリ過ぎず、ふくよか過ぎず、健康的でスリムに見えると言われています。
BMI = 体重(kg) ÷身長(m) ÷身長(m) 適正体重(BMI指数22で計算された、最も健康的と言われる体重) = 身長(m) × 身長(m) × 22 美容体重(BMI指数20で計算された、見た目がスリムな体重) = 身長(m) × 身長(m) × 20
身長164cmを例にとってみると、「適正体重」は約59.2kg、「美容体重」は約53.8となります。
平素から運動を行っているアイドルなどは、運動をしていない一般の者と比較するとインナーマッスルをはじめとする各種筋肉が発達しています。
そのため、計算上の美容体重より実際の体重は重くなる傾向がありますが、筋肉は基礎代謝を向上させ、プロポーションを引き締める効果がありますので むしろ望ましいこととなります。
同じ重さで比較すると、筋肉は脂肪よりも約20%体積が少なくなります。なのので体重そのものだけにとらわれる必要はなく、筋肉量等を考慮した全体のバランスで見ることが重要です。
なお、適正体重とBMIについては日本医師会のサイト(https://www.med.or.jp/forest/health/eat/11.html)にて計算することができます。
シンデレラ体重の危険性について
この他に、SNSで良くみられるものにシンデレラ体重というものがあり、こちらはBMI指数18で計算されています。
言葉の響きからこれが理想のように思えますが、BMI指数18というのは日本においては低体重の区分に分類され、健康に対する悪影響を及ぼす可能性が高まるとされています。
世界的なバレエダンサーの登竜門として知られる「ローザンヌ国際バレエコンクール」がありますが、それに参加するバレエダンサーの食生活と健康状態を調べた研究ではコンクール参加女性ダンサー127人の平均身長と体重は下記のようになっています。
女性ダンサー全体
平均身長 163.6cm 平均体重 47.8kg 平均BMI 17.8
Peter Burckhardt 1, Emma Wynn, Marc-Antoine Krieg, Carlo Bagutti, Mohamed Faouzi「The effects of nutrition, puberty and dancing on bone density in adolescent ballet dancers 」(2011)
栄養やトレーニングを厳格に管理されている国際的な第一線級のバレエダンサーでさえも平均BMI指数が17.8であることを思うと、一般的なダイエットにおいてシンデレラ体重を目指すことは極めてリスクが高いと言えます。
人体を構成するもの
人体は体の約3分の2が水分となっており、残りの3分の1はタンパク質、脂質、骨を構成するカルシウムなどのミネラルで出来ています。
食事から摂取するカロリーは摂取栄養素のエネルギー比では糖質55%、資質25%、たんぱく質15%となっていますが、体組成上では糖質は1%未満とわずかとなっています。
これは体内に入った糖質はグリコーゲンとして筋肉に貯蔵されるほかは主に即時的なエネルギー源として使われ、過剰な分は脂肪として蓄えられるといった人体の性質があるためです。
水分 : 62.6%
タンパク質:16.4%
脂質:15.3%
ミネラル:5.7%
糖質:1%未満
【成人の体組成(体重60kgの場合)】
厚生労働省「食生活改善指導担当者テキスト Ⅲ栄養指導」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/info03k-04.pdf
タンパク質は各種臓器、筋肉や皮膚など人体の細胞を構成する主成分であることから、ダイエットにおいては体組成における脂質の含有量を減らしていくことが重要となります。
また、日々の体重変動のほとんどは体内の約3分の2を占める水分量の変化となります。そのため、絶食により一時的に体重を落としたとしても水分をとれば元に戻ってしまいます。
体内の水分は一日に2,000ml~3,000ml入れ替わっていると言われています。
入る内訳は代謝(体内で栄養素がエネルギーに変わる)の際に作られる水分が約300 ml、食物から摂取するのが約1,000ml、飲料水が1,100mlといった具合です。
出る内訳は尿が約1,200ml、便が約200ml、汗が約600ml、呼吸によるものが400mlといった具合です。
なので、表面的な「体重」の変化だけに一喜一憂してはいけないのです。
一日の必要栄養量と基礎代謝量
栄養の計算をするときに用いられる「カロリー(cal)」とはエネルギーの単位であり、1ℓの水の温度を1℃上げるために必要なエネルギーが1kcal(1000cal)です。
エネルギーを産生する栄養素は、体内で1gあたり、炭水化物が4kcal、タンパク質が4kcal、脂質が9kcal、アルコールが7kcalのエネルギーに変わるとされています。
日本人が1日に必要とするエネルギーは18~29歳を例にとると、女性2,000kcal、男性2,650kcalとなっています。
人は体温の保持をはじめとする生命維持のためにエネルギーを必要とし、これを基礎代謝量と言い、一日に成人女性で約1,150kcal、成人男性約1,500kcalです。
カロリー制限においては、生きていく上で必要最低限のエネルギー量である基礎代謝量分を下回らないように注意するとともに、栄養バランスの取れた食事を摂取することが不可欠です。
そしてこれらの栄養素を日々の食事においてどれほどのバランスで摂取すべきなのかについては、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」において目標が定められており、下記のようになっています。
ダイエットにおいては筋肉量を維持し、脂質を減少させることが目的となることから、食事の管理においてはその比率をどのように調整するかが重要となってきます。
タンパク質:13~20%
脂質:20~30%
炭水化物:50~65%
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)
5大栄養素について(たんぱく質)
生命活動を営むため人間の身体に必要な成分であり、タンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルに分類されます。
エネルギーとしては炭水化物が優先的にエネルギー源として使われますが、炭水化物が不足するなどでエネルギー源が不足すると、体内のたんぱく質や脂肪をエネルギー源にします。
この際に血中にたんぱく質が不足していると筋肉が分解されて使用されることとなります。筋肉量が低下すると、基礎代謝も下がってしまうため身体がダイエットに適さない状態となってしまいます。
ダイエット中においては運動も並行して行うことが、よりダイエットの効果を高めますので、たんぱく質の摂取については十分に留意しておくことが必要です。
また、たんぱく質は20種類のアミノ酸で構成されており、そのうちの1種類でも欠乏するとたんぱく質の合成が出来ません。
20種類のアミノ酸のうち11種類は体内で糖質や脂質から合成することが出来ます。
しかしながら残りの9種類は体内では合成できず、食品から摂取する必要があります。これを「必須アミノ酸」といいます。
ダイエットにおいて栄養バランスの取れた食事をとる必要があるのは、こういったことも理由の一つとなっています。
5大栄養素について(脂質)
脂質は1グラムあたり9kcalと最も高いエネルギーを得ることができる栄養素です。
ダイエットの際に目の敵にされやすい脂質ですが、エネルギー源としてだけではなく細胞膜を構成したり、ホルモンの生成に必要であったり、皮下脂肪として臓器を保護したり、体温を保持する働きもあります。
また、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)の吸収に不可欠な物でもあるため、適切な量を摂取することが必要となります。
しかしながら、健康的でスリムな体系を目指すためには、必要な分は摂取しつつも、脂質の摂取を少なくしていく必要があります。
体重計などで有名なタニタのサイトによると、脂肪が1㎏減るとウエストが1cm減る程度の変化が起きるとされています。
また、脂肪は密度が低く、重さのわりに体積が大きいため、500mlのペットボトル2本分と乳酸菌飲料3.5本分の体積が減少するとされています。
詳しくは下記の引用をご参照ください。
脂肪1kgを減らすと見た目はどう変わる?
脂肪1kgの大きさ(体積)エネルギーを7,200kcal消費しても、減らせる脂肪が1kgというと、数字的に見るとあまり変化が無いように感じますが、見た目は大きく変化します。
統計的には、標準的な体格の男性でウエストが1cm減る程度の変化が起きます。脂肪は密度が低く、重さのわりに体積が大きいため、身近なものでは500mlのペットボトル2本分と乳酸菌飲料3.5本分の体積になります。脂肪を1kg減らした場合、それだけの体積がからだから削ぎ落とされますので重さの感覚以上に見た目にはスリムに引き締まって見えるのです。
カロリーを意識して、こうして具体的に数値化する事により、計画的かつ確実に体重をコントロールする事が出来ます。こういった「エネルギー収支」の意識を持つだけで、毎日の生活にちょっとした違いが生まれてきます。摂取と消費のバランスをとる事が健康的な生活習慣に繋がると言えるでしょう。
タニタ 「カロリーとは」https://www.tanita.co.jp/health/detail/28
5大栄養素について(糖質)
1 脳に必要な糖質
糖質は脳にとっての唯一の栄養源となります。他の臓器ではたんぱく質や脂肪もエネルギーとなりますが、脳は血液・脳関門という機能により、エネルギー栄養素としてはブドウ糖以外のものを通しません。
また、脳は全摂取カロリーの約2割を消費していると言われています。そのためダイエット中であっても、適正な糖質を摂取することは必要不可欠となります。
20代女性であれば一日に必要なエネルギーが2000kcalとなっており、うち脳で消費されるのは2割400kcalとなり、これは糖質に換算すると100gの糖質となります。
実際にはその他の代謝でも糖が使用されることとなりますので、約120~150gの糖質を摂取することが必要となります。
2 「糖類」、「糖質」、「炭水化物」の違い
「糖類」、「糖質」、「炭水化物」については混同されがちですが、それぞれにおいて区別があります。
「糖質」とは、「炭水化物」から食物繊維を除いたものと定められおり、1グラムあたり4kcalのエネルギーとなります。具体的にはでんぷん、糖アルコール、オリゴ糖などがあります。
「糖類」とは「糖質」の一種で、ブドウ糖や果糖などの「単糖類」と砂糖や乳糖などの「二糖類」の総称となります。
一般的に「糖質」よりも分子構成が単純な「糖類」のほうが分解されやすく、体内への吸収時間が早くなります。
イメージとしては糖類→糖質→炭水化物の順番で、色々な分子が結合した複雑な組成の物質となります。
3 血糖とインスリン
食事で糖質を摂ると血糖値が上がり、膵臓から血糖値を下げるためにインスリンというホルモンが分泌されます。このインスリンには血中の糖分を脂肪に換えて体に貯蔵する働きがあります。
血糖値が緩やかに上昇するのであれば問題ありませんが、急激に上昇するとインスリンは過剰に分泌され、体に脂肪をため込みやすくなってしまいます。
そのため、糖質の摂取に際しては食後の血糖値の上昇度を示すGI値(グリセミック・インデックス)を考慮して食材を選択します。
このGI値が高い食材を食べると血糖値が急上昇し、反対に、GI値が低い食材を食べると血糖値は緩やかに上昇します。そして血糖値の急激な変化は食欲を増長させるとも言われています。
空腹時には一気に食事をしてしまいたい気持ちになるものですが、出来る限りGI値の低い野菜等の食べ物から、ゆっくりと摂取することが推奨されています。
また、外出先等でGI値の高い食べ物を食べることになった場合でも、ゆっくりと食べることにより体内への吸収スピードをなだらなにすることが出来ます。
また、満腹中枢は血糖値の上昇以外に、咀嚼による刺激によっても活発化するため、食事をゆっくりと摂取することは食べる量を減らすという効果も見込めます。
5大栄養素について(ビタミン・ミネラル)
ビタミン・ミネラルは直接的にエネルギーとしては作用しないものの、糖質、脂質、タンパク質を分解しエネルギーとするために働いたり、体内バランスの調整に重要な役割を果たします。
必要量はわずかですが、体内ではほとんど作ることができないため、食事から摂取する必要があります。
運動と減量の関係について
運動には短時間に強い負荷をかけるタイプの筋トレや短距離走など、酸素を使わずに筋肉にため込まれた糖をエネルギー源として行なう「無酸素運動」
軽〜中程度の負荷を継続的にかけるタイプのジョギングやエアロビクスなど
酸素を使って脂肪を燃焼させる「有酸素運動」に大別されます。
生物は運動をする際、筋肉を動かすのにATP(アデノシン三リン酸)という体内物質を大量に分解して筋肉を収縮させます。
そのATPを生成するためのエネルギー源として糖質、脂質、たんぱく質が使用されます。
長時間、有酸素運動を行うと、ATPを生成する元となる糖質が不足するため、体内に蓄積された脂質を用いるシステムに切り替わります。これが運動を行うと痩せるメカニズムです。
運動の初期においては糖質が使用されますが、過度な食事制限により栄養不足の状態ではエネルギーが足りず、筋肉が分解されエネルギーとされてしまいます。
また、運動をした後は筋肉が損傷し、その回復のためにもたんぱく質が必要となります。筋肉量が減少すると基礎代謝が低下するため、カロリーの消費量が減って痩せにくくなってしまいます。
運動による筋肉量の減少を防ぐためには、適度な糖質の摂取が必要となるほか、たんぱく質の補給について考慮した食生活を送ることが大切です。
また、痩せるためには一日の消費カロリーが摂取カロリーを上回る必要があります。そのため、健康の維持のためには食事の制限に加えて運動を行うのが効率的です。
運動により消費されるカロリーは行う運動の強度(メッツ) と時間と体重をかけたものとなります。
実際にダイエットにてどのくらいの運動を行う必要があるかについては、減らしたい体重によって変わってきます。
脂質1gで9kcalのエネルギーを生み出します。体内の脂肪はその2割が水分なので、脂肪1kgを消費するのに必要なカロリーは7,200kcalになります。
必要な運動量については、CASIOが運営している「生活や実務に役立つ高精度計算サイトkeisan」にて計算することが出来ますので、そちらで試算してみてください。
運動の計算式
1時間の消費カロリー( kcal ) = 運動強度(メッツ) * 体重kg * 1.05
必要な運動時間 = 減らしたい脂肪の重さ (kg) * 7200 ( kcal ) / 1時間の消費カロリー( kcal )
〇「生活や運動の消費カロリーの計算」
https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228741
〇「脂肪を減らす運動の計算」
https://keisan.casio.jp/exec/system/1470373552
CASIO 生活や実務に役立つ高精度計算サイトkeisan https://keisan.casio.jp/https://keisan.casio.jp/
具体的事例について
ここで20代女子を例にとって計算してみます。
体重55kg、毎日の摂取カロリーの1割をカット。
ランニング(運動強度7メッツ)を毎日30分実施とします。
☆食事制限によるカロリー制限
2,000kcal(一日の必要カロリー)×10%(カット分)=200kcal(1日)
200kcal(1日)×30日= 6,000kcal(1か月食事制限分)
☆運動によるカロリー制限
202kcal(ランニング30分)×30日=6,060kcal(1か月運動分)
1か月の食事制限と運動による消費カロリーが合計で12,060kcal、これlを脂肪1kgに相当する7,200kcalで割ると体内の脂肪分は約1.68kg減少することとなります。
あくまでこれは計算上のもののため実際には変動はありますが、適度な運動を行えば、無理な食事制限を行わなくても体重は減少し行くこととなります。
なお、今回のケースでは1日のカロリー制限を200kcalとしていますが、これは6枚切り食パンが1枚158kcal、おにぎりが1個215kcalなので、それほど無理のないことが分かります。
リバウンドについて
せっかくダイエットを行い体重を減らしたとしても、リバウンドを起こしてしまっては何にもなりません。
人間の体にはホメオスタシスという体内の状態(体温・血液量・血液成分など)を一定に保とうとする働きがあります。
そのため、1か月における体重の変動は5%までに抑えるのが良いとされています。
そのため、ダイエットの計画を立てる際は、これを基準に行うこととなります。それ以上減らすと人体は生命の危険を感じて、ホメオスタシスの働きが活発化します。
もし急な減量にてリバウンドが起こり、体重が戻ってしまった場合、筋肉は時間をかけて体に定着するものであるため体脂肪だけが増えてしまいます。
そして体が本能的に栄養をため込もうと変化してしまうため、どんどん痩せにくい体になってしまいます。
ネットで見かけるダイエット方法の中には”1ヶ月で10kgの痩せる”と掲載しているものもありますが、1か月で体脂肪を10kg落そうとすると72,000kcalを消費しないといけないことになります。
一日の摂取カロリーは2,000kcalなので、仮に1か月絶食したとしても食事制限のみでこれを行うことは不可能です。
人体の60~70%を占める水分量の変動により、試合前のボクサーのように一時的に減量をすることは可能ですが、水分をとれば元に戻ってしまいます。
また、先述したホメオスタシスの働きが活発化し、痩せにくい体になるばかりでなく、健康上においても重大な支障をきたします。
そのためダイエットに際しては、自分に合った理想的なペースで継続的に行っていくのが重要です。
ダイエットの心理的影響について
ダイエットにはストレスが付きものです。しかしながら、ストレスは自律神経の作用を阻害し、食欲を亢進させてしまうことにも繋がりかねません。
そのため、ダイエットに際しては中長期的な計画を立て、その中で実施していくことが心理的にも重要になってきます。
何らかの事情により一日の摂取カロリーが2,000kcalを超えてしまったとしても、1週間で14,000kcal、1か月で60,000kcalの枠内に収めてしまえば良いのです。
これが一日単位での目標のみにとらわれてしまった場合、これが継続してしまうと多大なストレスがかかり、何をしても無意味だと思う「学習性無力感」の状態になってしまいかねません。
また人間は蓄積されるストレスから回避するために、実際にはそこに変わらずストレスが存在していても自らそれを感じなくさせてしまうような心の働きがあります。
ダイエットについては食事という生活に密接した事項を制限すること、また長期にわたることから知らぬうちにストレスをためてしまうことが多いです。
そのため、時には「甘いものをいっぱい食べる日」などを設定してストレスの息抜きをしてやるほうが、結果的にダイエットが上手くいくこともあります。
ダイエット中は空腹感や焦燥感から、通常とは異なる心理状態に置かれることが多いため、ストレスによる心身へのさまざまな悪影響を回避するためにストレスコーピング(ストレスの適切な対処)が重要になります。
まとめ
本記事においてはダイエットにまつわる各種の事項について検討しきました。
ダイエットの効果については個人の体質にもよるため、一概に何が正しいかというのには諸説入り乱れています。
アイドルは夜にライブを行うことが多いため不規則な生活になりがちであり、レッスンでも体を酷使したり、またストレスも多いなど心身ともに非常に過酷な環境にあります。
そのためには無理のない範囲で、日々の食事の制限と運動を中長期的に継続していくことが、遠回りに見えても、健康を維持したままスタイルを向上させる一番の近道となります。
ダイエットはなかなか周りにその努力が理解されない辛さがあります。だからこそ、楽しく健康的な明日を迎えるために、無理のない計画を立てこつこつと続けていきたいですね。
引用一覧
- 日本医師会「自分の適正体重を知ろう」https://www.med.or.jp/forest/health/eat/11.html
- Peter Burckhardt 1, Emma Wynn, Marc-Antoine Krieg, Carlo Bagutti, Mohamed Faouzi「The effects of nutrition, puberty and dancing on bone density in adolescent ballet dancers 」(2011)
- 厚生労働省「食生活改善指導担当者テキスト Ⅲ栄養指導」https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/info03k-04.pdf
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
- タニタ 「カロリーとは」https://www.tanita.co.jp/health/detail/28
- DyDo 「『糖質』と『糖類』はどのような違いがあるのですか?」https://www.dydo.co.jp/faq/entry/100
- 大塚製薬「血糖値とGIの関係性」https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/glycemic-index/glucose-level/
- 大塚製薬「ビタミン・ミネラル」https://www.otsuka.co.jp/nutraceutical/about/nutrition/sports-nutrition/essential-nutrients/vitamins-minerals.html
- CASIO 生活や実務に役立つ高精度計算サイトkeisan https://keisan.casio.jp/https://keisan.casio.jp/